写真日記帖 トップ > 第2期 日々の彩り[山田マチさん]

2009年10月18日
子供のころ、『ムク』という名前の犬を飼っていた。
動物が大好きな妹がせがんでせがんで、
ようやく父がどこぞからもらってきたのだ。
山田家は8人家族だったが、他のメンバーはとくに
「動物大好き!」というわけではなく、
妹も成長して動物以外に好きなことも増え、
ムクは特別溺愛もされず、
とはいえエサや散歩の世話は滞りなく行われ、
たぶん幸せのうちに天寿をまっとうした。
ムクがいなくなって数ヶ月がたったころ、
実家に帰ったら、犬に吠えられた。
父が突然連れてきたのだという。
もらったのではなく、買ったとのこと。
え!? 犬、好きだったの?
20数年間、まったく知らなかった事実だった。
父は『サンタ』と名付けた。
山田サンタ。
山田山太?
サンタクロースのサンタ?
散々たるのサンタ?
由来はわからない。
それからほどなくして、
妹に男の子が産まれた。
父にとっては初孫である。
家族みんなで、名前をあれやこれやと考えていた。
父は執拗に「ユウスケ」という名前を薦めていた。
山田家には、“ゆう” や “すけ” が入る名前の人物は、
先祖も含めて誰一人いない。
理由をたずねると、
「次に女の子が産まれたら、“マリア”にしたらいーじゃねーか」
サンタ。
ユウスケ。
マリア。
ユースケ・サンタマリア。
え!? 犬先行?
え!? その計画はいつから?
え!? ユースケ・サンタマリア、好きだったの?
まったく知らなかった。
ほかの山田家メンバーが一丸となって猛反発したため、
父のユースケ・サンタマリア計画はおじゃんとなった。
当たり前だ。
現在父は、サンタと、
ユウスケにしそこねた孫をかわいがりながら、
日々健やかに暮らしております。