写真日記帖 トップ > 第2期 日々の彩り[山田マチさん]

2009年11月08日
このたび、山田の生家が全焼しました。
現在の実家から徒歩10分ほどの距離にある、
私が15歳まで住んでいた家です。
仕事のついでに名古屋の実家に
ふらりと立ち寄りまして、
ちょうどお茶の時間だったこともあり、
皆でたらたらとおしゃべりをしていました。
家族や親戚の近況を順番に聞き、
話題が、
まがり煎餅とぽたぽた焼きはどっちがうまいかとか、
だれそれの韓国土産があったわね、
ああこれこれ、
なんでマカダミアナッツなのよ、
などと、どうでもいい話が極まってきたころ、
母がサラリと言い出しました。
「あ、そういえば昨日ね、
前に住んでた家が全焼したんだよ」
えーーーーーーー!!!!!
驚いたそのあと、笑いがこみ上げてきました。
妹も笑い出しました。
母も笑い出しました。
父も笑い出しました。
いつしか台所は、爆笑に包まれました。
なぜ笑ったのか。
今でもナゾではありますが、
生家全焼という非日常の大きな事実、
それも昨日というホットな話題、
にもかかわらず、誰も話題にしなかったこの無駄な時間、
母の軽い口調、唐突さ、ついで感、
すべてがマッチしたのでしょう。
皆の笑いが静まってから、
事の顛末を聞きました。
その家は、最近では近所の工場で働く
若き外国人の方々が住んでいたそうで、
昼食後のタバコが原因だろう、
ケガ人もなく、隣家への延焼もなかった、
とのこと。
さて。
見に行くことにしました。
家の前に到着すると、
あれれ?
あまり変わりないように見えます。
しかし家の中をのぞくと、
壁や屋根はかろうじて残っているものの、
見事にまっくろ丸焼け。
全焼?という疑問は、
全焼。と納得。
子供のころ家族みんなでご飯を食べた台所も、
祖父母の布団にもぐりこんだ和室も、
思春期に思いをめぐらした自分の部屋も、
お化けがでそうでこわかった仏間も、
見事に全焼。
皆でうはーと眺めていたら、
たまたま隣のおじさんが顔を出し、
「おう。焼けちまったな〜」
隣接する工場で働くおばちゃんも、
「あら、前に住んでたお姉ちゃんよね。焼けちゃったわねー」
昨日焼けたばかりだというのに、
片付けたり嘆き悲しむ人影はなく、
工場はいたって普通に稼働していました。
なんだか、へいおん。
全焼なのに。
日常を生きていく人間のたくましさと、
思い出が丸焼けしたのに大笑いする
山田家の非情さが心に残る、
そんな2009年秋のはじめのお話でした。
*全焼写真は撮りましたが、なかなかの惨劇なので自粛します。
かわりに。
大事な部分をアスファルトで温める山田サンタ(オス)。