写真日記帖 トップ > 第2期 日々の彩り[山田マチさん]

2009年12月18日
山田家には、ばあさんが2人いました。
曾祖母、別名「ちいさいばあさん」は、
天寿を全うして、20年ほど前に亡くなり、
現存するのは、祖母「おおきいばあさん」です。
背が低いから「ちいさいばあさん」、
背が高いから「おおきいばあさん」
だったのですが、
「おおきいばあさん」も年をとり、
だいぶちいさくなってきました。
その「おおきいばあさん」(以降、ばあさん)が、
80歳を過ぎたころの話です。
父の誕生日に、私たち三姉妹は
「みんなで何かをプレゼントしよう」と話し合い、
結果、キックボードを贈ることにしました。
父はなかなかアグレッシブですし、
ちんちくりんのハゲオヤジがキックボードで走る様は、
なんとも愉快だろうと思ったのです。
当日、リボンのかかったキックボードを父に渡し、
さっそく庭で試乗会がはじまりました。
父が乗る様は、想像通りとても愉快で、
山田家メンバーはおおいに盛り上がりました。
それを見ていたばあさんが、突然、
「ワシものれる!」と豪語。
家族の制止をふりきり、
息子からキックボードを奪い取ると、
スイーッと走り出したのです。
その背中はみるみる小さくなり、
遠くの方でクルッとUターンをかまして、
さっそうと我らの元に帰ってました。
老婆とキックボード。
凄まじい組み合わせでした。
そんなばあさんも、今は入院中。
原因は、医者からの忠告を一切無視して、
焼酎を飲み過ぎたこと。
食欲はあきれるほど旺盛で、
差し入れに持っていった煎餅をむしゃむしゃと食べ、
家族がちょっとつまんで食べていたら、
「ワシの分がなくなるから食べるな」と怒ったそうです。
心配する気も起きません。
この元気っぷり、
心臓に入っているペースメーカーによるものではないかと
推測しています。
ペースメーカーのスイッチに、
「ハイ」と「ロウ」があって、
何かの間違いで「ハイ」になっているのではないでしょうか。
彼女が家族のペースを乱すことは数あれど、
彼女のペースが乱れたことは一度としてありません。
もういっそ、このままマイペースを貫き、
天寿を全うすればいいと思います。
*親戚のおばさんと仏壇のお磨きをするばあさん(左)。
おしゃべりが止まらず、うるさいと怒られるが、
聞く耳はいっさい持たない